私の友人の奥さんがお茶やっていて、その人にお茶碗を借りて描いた作品です。私の使っているパステルは特に黒系色のバリエーションが少なく、それまで発色がきつ過ぎるため一度も使わなかった「黒」を初めて積極的に使ったりもしましたが、それでもなかなか思った色が出せなくて苦労しました。 そして、もう一つ苦労したのが茶筅の表現です。元々パステルは、空や海の微妙なグラデーションや布やケーキといった柔らかい物の質感を表現するのは得意ですが、固い物や細くてシャープな物を表現するのはなかなか難しい上、茶筅の場合、先の細い部分が中と外で二重になっているため、全体としての立体感を出すのが大変でした。 しかし、その甲斐あってか何とか上手くまとめることが出来、また桜の花びらや抹茶の泡など思いがけず上手く描けたところもあって、結果的には好きな作品の一つになりました。 |